使い終わったペットボトルを洗って、別の飲みものに詰め替えて持ち歩く。
ペットボトルの再利用は軽くて便利なのでついやってしまいますが、実は衛生面から考えると危険な行為なんです。
これだけ聞くと、なんとなく「細菌が繁殖するから?」ということはイメージできるかもしれませんが、「ちゃんと洗っているから大丈夫でしょ!」と思ってしまう方もいますよね?
そこで今回は、ペットボトル再利用の危険性と、その原因となる細菌の繁殖やペットボトルの除菌の難しさ、細菌以外のペットボトル再利用の危険性についてまとめました。
ペットボトルは再利用向けに作られていない?
ペットボトルは水筒よりも軽くあまりかさばらない容器のため、一度利用したペットボトルを洗って、別の飲み物を入れて水筒代わりに持ち運ぶという人は多いと思います。
しかし、飲料メーカーの伊藤園のお客様相談室では、再利用をしないよう呼びかけているんです。
ここでは、「ペットボトル内部に侵入した菌が増殖することがあります」と記載されていますが、実際どれほど細菌が繁殖してしまうものなのでしょうか?
弘前大学の「ペットボトル入り飲料に関する研究」によると、飲み終わったペットボトルを洗って乾燥させた上で再利用をしても、再利用当日で気温20℃の段階で130個の細菌が発生し、そこからかなりのスピードで細菌が増殖していることがわかります。
この数値を見る限り、ペットボトルを再利用した場合、どんなに遅くとも当日中には飲みきらないと不安を感じる増殖力ですよね。
洗っているから大丈夫だろうと思っていた方はかなりショックなのではないでしょうか。
では、洗っているのにどうして細菌がこれほど増殖してしまうのか調べてみました。
ペットボトルの内部が洗いにくいので細菌が繁殖しやすい
ペットボトルに細菌が増殖してしまう理由は2つあります。
一つは口をつけることで口内の細菌が入り込んでしまうこと、もう一つはペットボトルの内部が洗いにくいことです。
上述の実験結果を見ると、ペットボトルに直接口をつけて飲んだ場合と口をつけずコップに注いで飲んだ場合では、いずれも細菌の増殖は見られるものの、その増殖数の桁が違うことが分かると思います。
実は、人間の口の中には様々な菌が存在し、その菌がペットボトルの中に入ってしまうことでペットボトル内の細菌が増殖してしまうんですね。
そうして細菌が繁殖したペットボトルを洗おうとしても、口が狭いので中までスポンジを入れることができなかったり、ペットボトル用のスポンジを使っても溝の汚れを落としきれずに細菌が残ってしまう可能性が高いんです。
そのため、見た目には汚れていないように見えても実は細菌が落としきれていないことが多く、さらにそのペットボトルに口をつけて飲むことで細菌が増えてしまいます。
また、洗剤を使用して洗った場合も、洗剤が落としきれずに残ってしまうという別のリスクがあります。
こうした点を考えると、ペットボトルを洗って細菌を落とすことは難しそうですね。
ペットボトルは熱に弱いので細菌を消毒できない
また、ペットボトルは熱に弱いので煮沸消毒をおこなうのも難しいです。
温かい飲み物を入れてしまってペットボトルの形が変形してしまった経験のある人は想像しやすいと思いますが、ペットボトルは熱湯で変形してしまうほど熱に弱い容器です。
そのため、細菌を消毒するための煮沸などをおこなうのもNGです。
このように、ペットボトルは口をつけてしまうこと、容器の中を洗いにくいこと、煮沸消毒できないことから、一度利用すると細菌を取り除いて再利用するのはかなり難しいことが分かります。
細菌が増殖した状態で中の飲み物を飲んだ場合、食中毒など体調を崩す原因になる可能性があるので、ペットボトルの再利用は極力避けたほうが良さそうですね。
細菌以外にペットボトルを再利用する際の危険性とは?
細菌による健康被害以外にも、ペットボトルの再利用には危険性があります。
それは、ペットボトルの破裂による怪我です。
食品安全委員会が配信している資料によると、開封後のペットボトルは「カビや酵母が繁殖する場合もあり」、そうした微生物がペットボトル内で繁殖することによってガスが発生し「ペットボトルの内圧が上昇」することが原因だそうです。
ペットボトルがいきなり破裂したら怖いですし、実際破裂した破片やキャップが目に当たって怪我をした、骨折をしたといった事例もあるのでかなり危険です。
ペットボトルの飲み物を放置するほど菌や微生物の増殖は増えるので、再利用してしまった場合、飲み物は放置せずなるべく早く飲み切るようにしましょう。
まとめ
以上、今回はペットボトル再利用の危険性とその原因となる細菌の繁殖やペットボトルの除菌の難しさ、細菌以外のペットボトル再利用の危険性についてまとめました。
ビンや缶と違い、ペットボトルは簡単に飲み物を詰め替えることができますし、軽くて持ち運びもしやすいですが、衛生面や破裂の危険性などデメリットについて理解していただけたと思います。
ペットボトルはリサイクルショップに出すことで再利用できますし、工作のように食べ物に使用しない再利用方法もありますので、水筒代わり以外の方法で再利用を検討してみてくださいね。